2017年2月12日日曜日

春が来た

禁糖がはじめられると思ったら、急に身内のお葬式が入り、月はじめ三日ほど上京して来た。通夜葬式に一通り付き合うということは、そこで出てくる料理に手を付けるということで、禁糖どころではない。結局、正式な禁糖を始めたのは帰って来てからなのだが、プレ禁糖をやっていたにも関わらず、それなりの飢餓感が襲ってくる。映画『沈黙』を観に二条駅まで行き、そのまえに一階にある本屋を冷やかしていると、平積みされていた『一汁一菜でよいという提案』という本に呼ばれたような気がした。手に取ってみると、装丁といい写真といい、なんだか読みたくなってレジに直行。ご飯と具だくさんの味噌汁を基本とすることをカタとすることが書かれている。食に対する真摯な感じが伝わってくる素敵な本だった。禁糖期間中ならではの出会い。今回の禁糖のヒットは焼き芋。アルミホイルにさつまいもをくるみ、それを火鉢の灰の中に埋めておく。一時間もしないうちによい香りが漂ってくる。これは美味い。その香りが部屋からなかなか抜けてくれず、稽古会の前には食べられないところが難点である。週末は白山稽古会。今回は一泊二日なので、持参のおにぎりと簡易味噌汁で乗り切った。石川に出かけた時は一ヶ月の中でも集中的に外食する期間なのだが、雪模様だったこともあり、外出もせずホテルの部屋でひたすら橋本治の『浄瑠璃を読もう』を読んでいた。禁糖、尾骨焼塩など、春の風物詩みたいなものである。旬の時期に旬のことをやっておくと季節の変化に上手に対応できる。われわれ夏冬30度の温度差の中を生きているわけで、それだけでも人間の適応力というのはたいしたものだと思う。ただ、尾骨焼塩にしろ足湯(そくとう)にしろ、僕の中では、身近な人間同士でやりあうものとしてあり、自分一人でやってる風景というのは空想しづらい。子育てをしている中で、足湯など頻繁に活用してきたけれど、最近は、足湯の潜在意識教育的な側面が薄れてきた印象があって、それはちょっと残念。ともあれ、今年いちばんの寒波到来とはいえ、もう春ですね。