2016年10月11日火曜日

岡山行き 1

■岡山行きを思いついたのは朝起きて空が青かったから。湯郷温泉のホテルが予約可能なことを確かめ、叔母に「これから行きます」と電話し、それから旅支度を10分で済ませ家を飛び出した。京都駅からも津山便のバスはあるのだが、朝いちに1本、あとは夕方に3本。この時間帯(9時)だと大阪駅発の便に乗るしかない。■まずはお土産と、北野天満宮脇の和菓子屋さんに行くが、買いたいものはどれも賞味期限が本日中なので、しかたなく日持ちするお菓子を買ってバス停に戻ろうとすると、今度は、目当てのバスは行ってしまう。なんだか行手を邪魔されているようだ。早足で白梅町のバス停に戻り、西院行きのバスを待つ。大阪駅の雑踏を抜けるのはいやなので、結局、阪急と地下鉄を乗り継いで新大阪。津山行きのバス待ちしている間にホテルに電話してピックアップを依頼。ところが、下車する停留所が近づいたころで、時刻表を一列読み間違えていたことに気づく。美作インターでバスを降り、ホテルに「1時間早く着いてしまいました」と電話すると、15分ほどで迎えの車が来る。■津山の家を畳んだのが6年前の春。以来、岡山の地に足を踏み入れることはなかった。震災後の混乱期と重なり余力がなかったことも確かだが、西に向かおうとすると必ず拒絶された。去年の夏もそうで、石川から岡山に行こうとしたのだが、叔父さんの都合が悪く、結果、京都に向かうことになった。あの時、岡山に行っていたら、京都への引っ越しもなかったかもしれない。■京都に引っ越してきても、まだ西に向かえなかった。妙に、南方向にばかり足が向いた。一年経って、やっと見えない壁を通り抜けた。■ボクが生まれ育ったのが今の美作市林野という町で、湯郷はそこから数キロ南。たまに温泉に入りに来ることはあったが、泊まるのは今回がはじめて。つまり、それだけボクが異邦人になった証拠だ。叔父叔母たちと再会し、宿に戻って温泉にも入り、明日は津山に出てから帰ろうかと思ったのだが…。